積層企業都市

旧市街と国家時代のインフラの上へ、企業建築と交通網を重ねて形成された2088年の中枢都市。

WORKS

読み
せきそうきぎょうとし
大分類
国家・地域
小分類
2088年都市構造
別名・旧称
積層都市、企業都市

積層企業都市は、八洲大陸戦役後の再開発、企業本社の建設、主要交通網の集中が重なった一部の中枢都市である。八洲大陸全体が同じ姿へ更新されたわけではなく、企業が大規模投資を行った都市の中でも、本社や中枢施設が集まる限られた区域だけが巨大な積層構造を持つ。

成立

企業統治への移行から約二十年では、大陸全域を新都市へ造り替えることはできなかった。多くの地域では政府時代の道路、鉄道、上下水道、団地、工業地帯を補修し、通信、制御、車両、エネルギー設備など必要な部分だけを更新している。

一方、戦役で大きく破壊された都市、企業本社・研究施設の建設地、港湾・物流・資源の重要拠点、社員の集住地域には集中的な投資が行われた。積層企業都市は、古い都市を撤去して一から造ったものではなく、旧市街を飲み込みながら上方向へ成長した都市である。

都市の階層

層・領域 主な構成
上層 企業本社、高層複合建築、空中連絡路、モノレール、迎賓施設
中層 商業施設、社員向けサービス、交通ノード、高架道路、駐車施設
地上・旧市街 国家時代の街路、雑居ビル、在来鉄道、古い住宅・工業区
地下・護岸内部 閉鎖地下街、旧地下鉄、共同溝、倉庫、排水路、保守通路
管理外区域 契約や保守から外れたアウターシティ

高層ビルが隙間なく空を埋めるのではなく、巨大な企業ランドマークと中高層建築が間隔を保って都市の輪郭を作る。複雑さは建物の密度よりも、道路、鉄道、河川、地下街、駐車施設が上下へ重なる垂直性に現れる。

建築と景観

企業建築は合理性だけでなく、バブル期の企業建築を発展させたような過剰さを持つ。円筒や曲面を組み合わせた塔、複数棟の接続、段状の上層部、巨大な吹き抜け、環状展望施設、空中庭園、大きな基壇などが、企業の資本力と権威を示す。

夜景の基調は深い青、群青、青紫、灰色、黒である。黄白色の室内灯、高架道路の照明、車両灯、赤い航空障害灯が加わるが、都市全体を極彩色のネオンで覆う構成ではない。湿気、霧、排熱による霞と、河川や濡れた道路の細い反射が都市の奥行きを作る。

河川と埋没した旧市街

一部の河川・運河は大規模な治水工事で深い人工水路となり、両岸に二十メートル前後のコンクリート擁壁が築かれている。護岸内部には古い建物の基礎、閉鎖地下街、旧地下鉄、共同溝、地下倉庫、旧駅施設が残る。露出した開口部は保守通路、物資置き場、非公式な居住区へ転用される場合がある。

上層に企業が建設した未来があり、その下に国家時代の都市が地層のように埋め込まれている。

交通

郊外の企業住宅地と中枢部は、多層高速道路や主要幹線道路で結ばれる。中心部への車両流入は地下駐車施設と入域ターミナルで管理され、車両登録と企業IDの認証後、利用者は自動運転タクシー、地下シャトル、ビル間モノレール、施設直通エレベーターなどへ乗り換える。

在来鉄道と地下鉄も基幹交通として残るが、多くは政府時代の路線を企業が延命運用したものである。車両や改札が更新されても、駅舎、トンネル、橋梁、線路配置には古い構造が残る。

広告と生活圏

広告設備は街全体ではなく、高速道路の防音壁、ジャンクション、トンネル出入口、道路側を向いたビル外壁など、車移動層から見やすい場所へ集中する。高級企業住宅、新型車両、上位医療プラン、教育、資産運用、身体調整といった企業正社員層向けの広告が中心である。

積層企業都市は清潔で均質な未来都市ではない。古い東京型都市の器へ、企業が必要な機能だけを重く積み上げた、管理と継ぎ足しの都市である。

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