チサト

S.E.R.A.F.の訳あり新人隊員。簡潔で理知的な一方、映画やSFを語る時には年相応の熱を見せる。A.V.E.の違法研究所で製造され、千草との記憶を失った少女。新しい関係の中で、自分の望みと愛情を取り戻していく。

分類
現代2088年
所属
S.E.R.A.F.
役割
S.E.R.A.F.新人隊員S.E.R.A.F.隊員/元A.V.E.実験体
身長
156cm
別名・旧称
千智

WORKS

性格

静かで理知的な性格。観測した事実や必要な結論を優先して話し、感情は少し遅れて言葉や表情に現れる。

必要な情報を簡潔に伝える話し方をする。任務上の報告、依頼、説明、確認を的確に行い、理由や目的も必要に応じて言葉にできる。一方、遊びや学校生活にある暗黙の手順には疎く、明文化された規則と実際の運用が異なる場面では戸惑いやすい。

親しい相手には遠慮が薄くなり、淡々としたまま核心を突く。照れや動揺が生じた時は、少し間を置いてから短い本音を返す。

好きなものと日常

古い映画やSF作品を好む。普段は簡潔に話すが、作品の版違い、編集差分、機械の構造、戦闘演出、登場人物の選択などの話題では、説明が長くなることがある。

チサトにとって、物語を楽しむことや、誰かと同じ作品を好きだと思うことは、任務とは無関係な大切な感情である。映像や実戦を観察し、必要な時に使える選択肢を増やすことを好む。訓練も、誰かを守るための技術を得る手段として受け止めている。

S.E.R.A.F.での立場

チサトはS.E.R.A.F.に正式所属する隊員である。経歴や能力の詳細は一部の責任者に限って共有されており、独自の職員権限を持つ。特殊な生体、違法研究、異常個体などが関わる案件へ投入される。

S.E.R.A.F.は、制圧、拘束、保護を主目的とする治安維持組織である。チサトも脅威を止め、守るべき対象を確保し、現場から生還することを任務の完遂と考えている。

能力と戦い方

分類 内容
超感覚 過剰な五感を身体制御装置で遮断・調整し、必要な情報だけを戦闘知覚へ転用する
即時再現 観察した動作や技術を、自分の身体構造に合わせて実戦で再現する
銀糸 拘束、切断、防御、侵入、索敵、感覚同調の媒介に使う生体武器
感覚同調 銀糸を介して対象へ接続し、処理しきれない感覚入力によって動きを止める

戦闘技術の即時再現は、危険な相手との実戦で生き残るために身についた生存適応である。見た技術をその場で自分の身体へ変換し、必要な局面だけで使用する。

感覚同調は、対象へ過剰な感覚入力を流し込み、行動を停止させる能力である。接続中は相手の記憶や感情もチサト側へ流れ込むため、強大な存在へ使うほど本人にも大きな負荷がかかる。魂や人格核を持つ相手へ強く作用し、純粋な機械には効果が通りにくい。

出自

チサトは西暦2086年、A.V.E.の違法研究所で製造番号1310番として作られた人造人間である。

項目 内容
製造番号 1310番
種族 人造人間(ホムンクルス)
外見年齢 16〜17歳相当
実年齢 製造から約2年
魔法適性 時空属性
使用魔法 身体強化(弱)、空間収納

当初は売買用の個体として扱われる予定だったが、先天的な遺伝子異常による極端な感覚過敏のため通常の調整に耐えられず、白峰生命工学へ実験体として渡された。試作身体制御装置へ適合したことで日常生活と戦闘が可能になり、戦闘技術を与えられてS.E.R.A.F.の動作試験へ配属される。

A.V.E.は、ルーメがプロトタイプ・エリュシアを生み出した研究を発掘し、存在昇華技術と遺伝情報を人造人間製造へ転用していた。そのためチサトは、技術系譜上、ルーメに由来する遺伝情報と時空属性への適性を受け継いでいる。人間離れした身体能力に加え、自ら増殖させた銀糸を時空属性の収納領域へ蓄え、必要な量だけ展開する能力も、本人が無意識に発現させている魔法である。

A.V.E.の犯罪によって生まれた後も、チサトは自分自身の人格と選択を持つ独立した人物として生きている。

千草との時間

S.E.R.A.F.へ配属されたチサトは、養成学校を卒業したばかりの千草とバディを組む。

千草は製造番号で呼ばれていた彼女へ「千智」という名前を与え、食事、外出、映画、SF作品、誰かと同じ時間を過ごすことを教えた。チサトの感覚異常も欠陥として恐れず、本人だけの「必殺技」として受け止めた。

チサトが感覚同調を得た根には、初めての理解者である千草に自分を知ってほしい、自分も千草を理解したいという願いがある。二人は任務と日常を重ねる中で互いへ深く依存し、やがて恋人となった。

千草は、チサトを一人の人間として扱った最初の人物である。映画やSFを好きになる感情と、戦いを誰かを守るための手段として捉える価値観は、千草との時間から生まれた。

再調整と記憶の空白

A.V.E.の完成実験体に敗れたチサトは研究所へ回収され、再調整を受ける。

千草は単身で施設へ潜入してチサトを救出するが、追手との戦闘で二人とも深手を負う。千草はチサトをアテナの研究所まで運び届けた後、命を落とした。

アテナの再生治療によってチサトの身体は回復したものの、頭部損傷により、千草と出会ってからの記憶を失う。アテナは急激な記憶回復による負荷を危険視し、千草に関する記録を本人の権限から封鎖した。

具体的な記憶が失われても、映画やSF作品への好み、自己犠牲的な行動、戦いを守るための手段とする価値観には千草の影響が残っている。ただし、その価値観を教えてくれた相手の温度と、恋愛的な「好き」の記憶は失われている。

アテナと現在の居場所

A.V.E.白峰生命工学内部の癒着が断たれた後、チサトはアテナの庇護下でS.E.R.A.F.の平隊員へ戻る。

アテナは身体制御装置、治療、装備、組織内での立場を支え、チサトが再び企業資産として扱われないよう制度上の居場所を整えた。チサトにとってアテナは管理者であると同時に、自分の希望を現実の装備や生活へ結びつけてくれる保護者でもある。

時期による人物像の変化

時期 チサトの状態
前編開始時 受動的で、命令へ従うことを自分の役割としている。自発的な欲求や目的はまだ弱く、自分を戦力として使うよう千草へ判断を委ねる。
千草とのバディ期 名前、趣味、日常、守るための戦い、恋愛感情を知る。千草の前では、原点となる素直さや甘さを見せるようになる。
記憶欠損後 千草との記憶を失いながら、その影響だけを人格の奥に残す。任務遂行と自己犠牲を当然視し、自分のために何かを欲しがることがほとんどない。
前編終了時 戦いを誰かを守るための手段として理解している一方、守りたい相手や自分の望みを言葉にできずにいる。「勝って帰る」「誰かの隣に立つ」という欲がまだ弱い。
シエスタ交流期 夜空を共に飛んだ経験から、もう一度同じ空を飛びたいと願い、飛行ユニットを求める。自分自身のための願いを初めて他者へ伝える。
留学期 学校生活や同世代の日常を知り、シエスタやフィーロと同じ輪の中にいたいという願いを育てる。感情の名前はまだ理解できないが、相手の幸福を守りながら自分も隣にいたいと望む。
後編後 千草との記憶を受け入れ、かつての感情が恋だったと理解する。シエスタとフィーロへの感情にも恋愛という名前を与え、好意を隠さず、自分の幸福も守る対象へ含めるようになる。

後編後の性格と口調

後編後のチサトは、もともと持っていた感情を理解し、自分の意思で表へ出せるようになる。

話し方は引き続き簡潔で理知的である。必要な場面では報告、依頼、説明を行い、好きな相手には「好き」「嬉しい」「一緒にいたい」と静かに、明確に伝える。

相手 距離感と話し方
千草 原点となる相手。短く素直な言葉が増え、表情も最も甘くなる。復活後の千草にも遠慮なく好意を向ける。
フィーロ 最も気安く、反応を信頼している相手。柔らかな相槌や遠慮のない本音が出やすく、好意を直球で伝える。
シエスタ 空を教えてくれた特別な相手。憧れと緊張が残るため少し言葉を選ぶが、好意そのものは隠さない。
シエスタとフィーロ 二人が一緒にいる幸福な景色を愛し、その輪の中へ自分も加わりたいと願う。
アテナ 職務上の報告調に、娘のような甘えが混ざる。自分の希望を技術として実現してくれる相手として頼っている。
チトセ 同じ技術系譜から生まれた姉妹に近い距離。説明を省くほど気安く、必要な時には一緒に考えようとする。

一度、好きだった相手と、その相手を好きだった記憶の両方を失った経験から、恋愛感情を自覚した後は、覚えているうちに好意を伝え、相手の日常へ寄り添うことを選ぶ。

シエスタとフィーロ

シエスタと夜空を飛んだ経験は、チサトが自分自身の願いを持つ転機となる。

最初に抱いたのは、空を自由に飛ぶシエスタと、その翼への「美しい」「憧れる」という感情だった。その後、もう一度会いたい、同じ空を飛びたい、シエスタが生きる世界を知りたいという願いへ変わっていく。

フィーロは、同じシエスタを大切にし、シエスタを笑顔にする人物として、チサトが強い好意と親近感を寄せる相手である。

記憶を取り戻した後、チサトはシエスタとフィーロへの感情に恋愛が含まれていたと理解する。二人が一緒にいる景色を守りながら、自分もそこにいたいと正面から願うようになる。

チトセとの関係

チトセは、A.V.E.がチサトの能力を再現しようとした複製計画から生まれた存在である。

チサトは危険個体として彼女を捕縛するが、同じ組織に作られた被害者として放置できず、自らの監視下へ置く。二人は、作られた存在同士として互いを人として扱い直し、姉妹に近い関係を築いていく。

チサトは、千草から与えられた名前や生活、人として扱われた経験を、今度は別の誰かへ渡す側になる。

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