ベル
地方貴族家に生まれた創造魔法の天才。ステラへ重い恋情を抱き、ルーメとともに《ヴァルグラン》を形にする技術者。
- 分類
- 古代魔法文明期
- 所属
- 首都魔法学園/第一魔塔
- 役割
- 生徒/技術者
- 身長
- 158cm
人物
ベルは、地方貴族ファルケンリート家の五女、ベルナデッタ・フォン・ファルケンリートの愛称である。創造魔法の天才であり、『静星のアストラレイン』におけるステラの相棒を務める。
頭の中に描いた構造や、通常の魔法技術では作れない素材を一時的に形にできる。ルーメの着想とステラの実戦感覚を結びつけ、《ヴァルグラン》を実際に動く機体へ作り変えていく。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本名 | ベルナデッタ・フォン・ファルケンリート |
| 愛称 | ベル |
| 出自 | 地方貴族家の五女 |
| 身長 | 158cm |
| 得意分野 | 創造魔法、構造設計、応急製造、機体改修 |
| 主な開発・研究 | 《ヴァルグラン》系列、《導励穿杭・零式》、高魔力伝導素材 |
| 主な関係者 | ステラ、ルーメ、アーカイアス |
幼少期とステラ
ベルの家は、代々領主の護衛や実務を担ってきた、武門寄りの地方貴族である。年の離れた末娘として家族に甘やかされて育ったベルは、幼い頃には我儘で気位が高く、貴族や色付きとしての自負も強かった。
両親に叱られ、しぶしぶ孤児院の奉仕活動へ参加した際、平民の少女ステラと出会う。
初めて見る同年代の色付きに興味を持ちながらも、平民の孤児として見下してつっかかり、身分にも態度にも動じないステラにこてんぱんにされた。それはベルにとって大きな屈辱であると同時に、初めて抱いた憧れでもあった。何も失っていない自分より、家族と故郷を失っても年下の子どもたちを支えるステラの方が、強く眩しく見えたのである。
やがてステラが実力で首都魔法学園への入学を勝ち取ると、その憧れは恋情へ変わっていった。
創造魔法
ベルの創造魔法は、想像した部品や素材を現実へ作り出す、希少で危険な魔法である。存在しない素材や、既存の魔導理論では成立しない構造を一時的に作ることもできるが、制御を誤ればベル自身や周囲を巻き込む危険がある。
ベルはこの力を、思いついたものを無制限に生み出すためには使わない。必要な構造を試作し、性質を調べ、既存の素材や製法で再現できる技術へ変えていくことを重視する。
ステラを守るためとなれば危険な領域にも踏み込むため、技術的な可能性を優先するルーメとは互いを危険人物だと警戒しながらも、研究者としてよく噛み合っている。
学園期と《ヴァルグラン》
首都魔法学園では、ステラとともにルーメと出会い、三人で秘密研究を始める。ルーメが語る異界のロボットや宇宙船に対し、ベルは夢物語として笑うのではなく、構造や素材、動力上の問題を指摘した。ルーメの荒唐無稽な着想を、「作れるかどうか」という技術上の課題として受け止めたのである。
三人は、ベルの実家に保存されていた旧式の古式魔導騎鎧《ヴァルグラン》を持ち出し、改修を進める。ルーメが設計と制御を考え、ベルが創造魔法で部品や素材を作り、ステラが操縦して実戦上の問題を確かめる。三人の異なる才能が組み合わさることで、《ヴァルグラン改》が形作られていった。
性格
気位が高く、負けず嫌いで、自分の才能にも強い自信を持っている。高飛車な言動が目立つ一方、実力のある相手は身分にかかわらず認める。
ステラへの感情は、単なる憧れや献身ではない。守りたい、失いたくない、誰にも奪われたくない、自分の側にいてほしいという強い独占欲を抱えている。ステラに近づく相手や、彼女を政治的に利用しようとする者には露骨な敵意を示す。危険な任務から遠ざけるためなら、機体へ過剰な安全機構や行動制限を加えようとするほどである。
ベルの技術は、ステラを戦わせるためではなく、生きて帰すためにある。しかし、その思いが強くなりすぎると、ステラ本人の意思まで奪おうとしてしまう。ステラを守ることと、自分のもとへ閉じ込めることの違いを学ぶのが、ベルの成長でもある。
ルーメとの共犯関係
ルーメは、ベルが隠していたステラへの恋情と執着を早い段階で見抜く。貴族家の娘であるベルにとって、それは将来や家の立場を失いかねない秘密だった。追い詰められたベルは、口封じのためルーメを殺そうとする。しかしルーメは怯えず、ロボットが必要とされる世界を作るという自分の夢を明かした。
ベルは、自分がステラのためなら世界の仕組みさえ変えてよいと考えているように、ルーメもまたロボットと物語のために世界を変えようとしていることを理解する。二人は互いを最も危険な人物だと認めながら、親友であり共犯者となった。恋愛感情はなく、それぞれの夢を実現するため、互いの力を利用し、支え合う関係である。
ルーメとの取引
ベルは、ルーメが魔法文明を終わらせるために進めていた技術開発へ、創造魔法と素材研究によって協力した。その代わりにルーメは、ステラの魂を死後も保存する宝玉と、ベル自身の記憶を後世へ継承する術式の開発に協力する。
ルーメは、自分の望む機械文明へ世界を進めるためにベルの創造魔法を必要としていた。ベルは、いつかステラと再び結ばれる未来へ到達するために、ルーメの時空技術を必要としていた。文明の行方と、一人の少女への執着。規模は異なっていても、二人は互いの願いが常識の範囲に収まらないことを理解したうえで手を結んでいる。
マナイーター襲撃戦
首都へ老成マナイーターが襲来すると、周囲の魔法や魔導具が機能しにくくなり、《ヴァルグラン改》も未完成のまま実戦投入される。
ベルはルーメとともに、マナイーターの体内へステラの魔法を送り込むための杭状兵装《導励穿杭・零式》を突貫で作り上げた。創造魔法によって必要な素材を作り、未完成の兵装を実戦で使用できる状態へ仕上げる。ベルの技術がなければ、ステラの《アステロイド・ブレイカー》をマナイーターの体内へ届かせることはできなかった。
第一魔塔研究室
マナイーター襲撃後、ルーメ、ステラ、ベルは第一魔塔主アーカイアスに認められ、その研究室へ迎えられる。
ベルの創造魔法は、通常では存在しない素材や部品を作り出せるため、魔塔上層部から危険な研究対象として注目された。アーカイアスはベルを上層部へ差し出さず、自分の研究室で保護する。彼女の力を単なる便利な製造手段として扱わず、作り出したものの性質を調べ、この世界の技術として再現する方法を学ばせた。
この時期の研究は、高魔力伝導素材、原基共鳴子、アンカー技術、後世のレゾナ機関と非マナ技術へ続く起点となる。
ノクティルカ革命
ベルは、ノクティルカの正体がルーメであることに気づき、その主張が大陸全体を救うためには正しいことも理解していた。それでも、ベルが最優先するのはステラである。
魔導国から《捨て身の電撃逆進行作戦》を命じられたステラを止めようとし、《ヴァルグラン改二》へ行動制限や過剰な安全機構を加えようとする。しかし、ステラを危険から遠ざけることは、彼女の選択を奪うことでもあった。二人の衝突を経て、ベルはステラを閉じ込めるのではなく、前へ進んだ彼女を生還させる技術者になる。
《ヴァルグラン改二》には、緊急封止材、自動修復材、脱出機構、補助動力など、ステラを帰還させるための装備が組み込まれた。
D2計画後
D2計画によって地表のマナ励起が停止すると、魔法に依存していた社会基盤も機能を失う。
ルーメは《ヴァルグラン改二》を完全非マナ駆動機《ヴァルグラン・ルミナリス》へ改修し、ステラとベルへ残した。ステラが機体に乗って救助と復興の前線へ向かう一方、ベルは残された機構を解析し、魔法に頼らない動力、照明、輸送、医療などへ応用していく。
ベルの創造魔法は、存在しないものを一時的に作る力から、誰もが使える技術の最初の形を示す力へ変わった。ルーメの知識を再現するだけではなく、この世界の素材と人々の手で作り直し、次の文明へ渡すこと。それがD2後にベルが担った役割である。
