八洲帝国連邦

約四千年の文明崩壊と復興、地方分立、八領国の再統合を経て成立した、国家と企業が機能を分担する連邦国家。

WORKS

読み
やしまていこくれんぽう
大分類
国家・地域
小分類
現代国家
別名・旧称
Yashima、八洲

概要

八洲帝国連邦は、古代魔導文明の終焉から約四千年に及ぶ復興、封印文化の拡大、地方分立、近代再統合を経て成立した国家である。

2088年時点でも皇帝、議会、官僚機構、連邦軍、警察機構は制度上存続しており、単なる名目国家ではない。国家は皇統、外交、国防を保持し、企業は都市の日常サービスと社会基盤を運営する。州・都市、皇霊院霊算院もそれぞれ固有の機能を担う。

基本情報

項目 内容
正式国号 八洲帝国連邦
英語国名 Yashima
王朝 ヤシマ王朝
皇都 鎮都《しずみや》
現行紀年 レムリア王朝成立時の改暦を元年とし、現代は2088年
政体 八つの歴史圏を構成単位とする帝国連邦
現代の統治 国家・州・都市・企業・皇霊院霊算院による機能分担

「帝国」は皇統と歴史的正統性を示し、「連邦」は近代以前に独立した領国として成立していた八つの歴史圏を構成単位とすることを示す。

通史

時期 主な出来事
古代魔導文明末期 西都レムリアで《カンパネラ》が起動し、西都沈降領域がフォールン・ゾーン化する
D2計画 地表のマナを励起できなくなり、マナ依存文明が崩壊する
初期復興 旧西都住民と天津人の封印術者が汚染地を浄化し、生活圏を再建する
レムリア王朝成立 旧西都統治者の子孫と天津人巫女の系統から皇統が成立する
封印網拡大 天津系大社・分社結界が各地へ広がり、復興ネットワークが統治圏へ発展する
レゾナ文明期 低出力レゾナ機関を基礎に復興し、一部都市で限定的な近代化が進む
百鬼門禍 異界門の誤用で大妖魔が流入し、大寒冷化と文明崩壊が起こる
地方分立 大社結界圏が生存圏となり、鎮都の実効支配が縮小する
四十領国時代 食料・燃料・農地・結界資源を巡る抗争と統合で約四十領国へ集約される
八領国時代 婚姻、併合、祭祀連合、交易圏統合を通して八つの大領国が成立する
約半世紀前 八領国が皇統を戴く八洲帝国連邦へ再編され、レムリア王朝はヤシマ王朝へ改称される
約二十年前 八洲大陸戦役が発生。国家財政、軍、社会保障、社会基盤が大きく損耗する
戦後5〜8年 復興委託を受けた企業による都市代理運営が恒常化する
2088年 国家と企業、皇霊院霊算院が並立する企業統治社会が成立している

古代西都レムリアと文明崩壊

古代アルカディア魔導国の西都はレムリアと呼ばれていた。魔導国上層部はノクティルカを排除するため、西都のアブストラクターを禁忌兵装《カンパネラ》として起動した。

砲撃自体は中和されたが、深層メガリス沈降、深淵漏出、ネザライゼーション、空間位相の損傷が残り、西都と周辺は通常空間として安定できないフォールン・ゾーンとなった。D2計画によって地表のマナを励起できなくなると、交通、通信、医療、軍事、産業をマナに依存していた魔導文明は崩壊した。

アマツ群島国と封印術

アマツ群島国は最古級のアブストラクターを長期運用した結果、局地的なメガリス・コーン現象で国土の大部分を失った。国外にいた者を含む生存者は、自国を天津国、自らを天津人と呼び、妖魔、怪異、境界異常へ対処する封印術、結界術、祭祀の伝統を保持した。

カエラは伝承と経験則に基づいていた天津の封印術を解析し、異界門や位相傷へ再現性をもって対処できる体系へ再構築して術者へ教えた。この技術伝達は後世に「天の遣いによる授法」として神話化された。

レムリア王朝の成立

旧西都住民とその子孫は、天津人の巫女・術者とともに位相傷と深淵汚染を封じ、水源、農地、街道を少しずつ取り戻した。

初代皇帝は旧西都統治者の子孫で、カエラから直接封印術を学んだ天津人の巫女と結ばれた。皇統は次の四点を正統性の根拠とする。

  • 旧西都レムリアを統治した家系の血統
  • 天津人の巫女が継承した封印術
  • 天の遣いから術を授かったとする神聖性
  • 汚染された故郷を浄化して生活を取り戻した実績

大社・分社結界と国家形成

位相傷が各地へ広がると、レムリアは封印術者を派遣し、天津系大社を中心に分社、小祠、封印杭、祭祀路、街道・水路上の結界点を配置した。

大社は宗教施設だけでなく、異界門兆候の監視、集落・農地・水源の保護、街道の安全確保、術者育成、避難所、備蓄拠点を兼ねた。封印網の維持に必要な測量、暦、報告、人員派遣の仕組みが政治的統治圏へ発展し、レムリア王朝が正式に成立した。

皇霊院と霊算院

組織 主な役割
皇霊院 位相傷・異界門の封印、結界維持、汚染地浄化、妖魔鎮護、大社網と皇統儀礼の統括
霊算院 暦、国土測量、地脈・霊脈・マナ流動観測、結界配置計算、異界門・災害兆候の予測

霊算院は、王朝成立時の改暦と国土再測量に伴い、観測・測量・演算部門が皇霊院から独立して成立した。

レゾナ機関と限定的近代化

魔導文明崩壊後、低出力レゾナ機関は燈明、暖房、炊事、小型工具、揚水、簡易通信、医療・工房の動力として生活を支えた。

長い改良で大型化に成功したものの、大型設備を維持できたのは鎮都、主要港湾、他大陸への玄関口など一部に限られた。大型工場、鉄道、電信相当の通信、近代軍制、上下水道、印刷・新聞を持つ都市と、人力・畜力・薪・水車で暮らす村落が同じ王朝内に併存した。

百鬼門禍と地方分立

異界門の誤用で大量の妖魔と異界存在が流入し、大陸規模で気候と生態系を変える大妖魔が顕現した災害を百鬼門禍《ひゃっきもんか》という。

農地と水源の凍結、都市放棄、街道・水路の寸断、封印網の破壊が進み、鎮都は結界で壊滅を免れたものの物流と情報を失った。各地では独立して機能した大社結界圏へ避難民が集まり、巫女・神職、霊家、武家、地方領主、技術者集団による自治圏が成立した。

寒冷化後の資源抗争と統合を経て約四十の領国が成立し、さらに婚姻、併合、祭祀連合、街道・水路管理、交易圏統一によって八領国へ集約された。

八つの歴史的地域と現代州

歴史的地域名 2088年の正式州名 英語・略称 主な性格
レムリア 鎮都直轄州 Yashima Federal District / Y.F.D. 皇統、皇霊院霊算院、国家儀礼の中枢
アウステル ウエスト・コースト州 West Coast 皇都圏の港湾、物流、商業、行政補助
ガルディア ノーザン・ゲート州 Northern Gate 北方国境、軍事基地、交易路、物流結節点
オルゼア ノース・ハイランド州 North Highland 寒冷山岳、古代遺構、封印地、武家・霊家の伝統
リゼリア セントラル・プレーンズ州 Central Plains 交通、工業、研究、企業都市の集積
グランゼル アウターエッジ州 Outer Edge 東部海洋、港湾、造船、外洋貿易、海洋観測
ヴェルディア サウス・ゲート州 South Gate 南方交易、沿岸都市、海上防衛
ヴァレリア ハーベスト・ランド州 Harvest Land 農業、食料供給、農耕祭祀、生命科学産業

歴史的地域名は旧家、地方史、文化、祭祀の文脈で残り、現代州名は住所、行政、法律、企業契約に使われる。

近代再統合

交通、通商、規格、国防、封印網の共同管理が進み、約半世紀前に八領国は皇統を戴く連邦国家へ再編された。この際、旧西都を中心としたレムリア王朝は、八つの歴史圏全体を象徴するヤシマ王朝へ改称された。

八洲大陸戦役

現代から約二十年前、ノース・ハイランド州の帝国再興派が山岳地下の未完成アブストラクターへ手を出した。計画は連邦政府内部の離反者、旧軍・州軍、国外勢力と結びつき、国内クーデター、隣国侵攻、古代遺産の軍事利用が同時進行した。

連邦公安部上層もクーデター側へ加担し、霊算院などが出した警告を握り潰し、危険度を改竄していた。政府側は勝利したが、国庫、軍、社会保障、医療、治安、交通、エネルギー基盤が損耗し、連邦公安部は戦後に解体された。

企業統治への移行

戦後、政府と州は医療、食料、衛生、道路、鉄道、電力、通信、治安補助、都市復旧を企業へ委託した。当初は緊急措置だったが、終戦後およそ五年から八年で主要都市の企業代理運営が恒常化した。

2088年の市民は国家の国民であると同時に、都市管理企業や各種企業サービスの契約者でもある。医療、教育、居住、交通、治安、情報、エネルギーの制度は州・都市と企業の契約によって異なる。

2088年の権限分担

主体 保持する機能
連邦国家 皇統、外交、国防、連邦制度
州・都市 地域制度、企業との契約調整、地域行政
企業 医療、治安実務、交通、通信、エネルギー、都市インフラ
皇霊院 封印、鎮護、神域、大社・分社網
霊算院 観測、測量、予測、霊的ネットワーク

現代八洲は「企業が国家を完全に置き換えた社会」ではない。複数の主体が互いに代替できない機能を分担する、危うい均衡の上に成立している。

公開史と秘匿史

一般教育では、古代文明、西部の地殻災害、レムリア王朝の復興、百鬼門禍、八領国、連邦成立、戦後の企業委託社会が説明される。

一方、《カンパネラ》と西都沈降の真相、深層メガリス、空間位相傷と異界門の関係、カエラによる封印術の体系化、大妖魔の実在、結界網の実機能、未完成アブストラクターが戦役で狙われた事実、地表マナの回復は一般には公表されていない。

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